2022年3月7日月曜日

ソフト 外骨格 ”E-Knee” C-EXO Skeleton Technology Company

ある日、膝が痛み出し、それはあっという間に激痛となり、歩くのもやっとという状態になった。

いわゆる水が溜まる、という状態でもあり数度の”水抜き”を実施してなお痛みは続き、専門医に診てもらい、状態は把握できたものの原因は不明。対処療法を厚めに実施することで、徐々に改善し数ヵ月で歩行することができるようになった。
しかし、膝への不安は残っていた。屈曲させるときに妙な音もする。明らかに部品としての膝関節は不可逆な損傷を受けたものと考えられる。
衰えた筋力を取り戻し、膝の健全性を改めて担保しなければならない。そのためには過負荷を抑えつつも”歩く”ことが重要と考えた。

であるならば、サポーターである。
この分野に悩む人々というのは多く居るのだと知った。
加齢によって膝が衰えた先人から、スポーツのために膝の予防保全を志向する人。
サポーターも用途に合わせ多すぎるくらいの製品が存在する。
湿布を抑えつけるだけのもの。
保温を主目的としたもの。
ガイドフレームが屈曲を制限するもの。
バネの反力で負荷を緩和しようとするものもある。
あれこれ(といっても片手で足りるもの)試してみた。
最終的にはバンテリンのサポーターに落ち着いたのだが、主に装着感を重視しての落着点だった。
サポート(保持)する、という意味に於いては随分と頼りないのである。


そんな時に出会ったのがC-EXO Skeleton Technology Companyの”E-Knee”である。


センサーとマイクロコンプレッサーとエアバッグの組み合わせによって、膝の状態に合わせて保持力をダイナミックに調節してくれる。

見た目はオレンジ色のエアパイプが目立ち、裏方に徹するつもりは一切ないデザイン。カッコイイとも言えるけれど。
本件もKickStarterでのクラウドファウンディングであり、出会ったのはそれが始まる前であった。

当然、開始直後に投資完了した。
しかし、クラウドファウンディングの常として納期は大幅に遅れ、当該サイトのコメント欄には「詐欺だ」、「返金せと」という文言が目立ち始める。

この手のことはよくあることなので「まあ勉強代でした」と済ますしかないと思っているのだが、2022年の年明け早々に「送るぜ」と不意の連絡。そこからも長かったが、ようやく受け取ることができた。


まず。
このE-Kneeは大変、かさ張るのである。かさ張っているのである。
従って、標準的なズボンの中に隠蔽することはできない。かなり緩め(太目)のズボンでなければ共存できない。
共存したとしても、左膝の出っ張りは隠しようもない。

海外では「動作音が気になる」という声を見つけたが、音としては電動の血圧計の音。やってることは同じなので当たり前。腕を締め付けるか膝を締め付けるかの違い。

で、これが気になるかといえば、それは状況による。

例えば装着した状態で室内の椅子に座るとエアは抜ける。保持力は弱まり圧迫感は感じない。抜ける時は音はほとんどしない。

ここから立ち上がると10秒程度ヴ―ッとコンプレッサーが作動する。これが会議室であれば目立つだろう。誰かのスマートフォンのバイブ音とは音色も大きさも違うので「何だ?」となる。

屋外であればほぼ気にならない。

エアバッグが膨らむことで保持力を発揮

目立つ、という部分でセンサー(兼バッテリー兼コンプレッサー)部分で赤い光が周回するように常時光っている。履くズボンにもよるが、私の場合は比較的薄い制服であるため、暗いところだとこの光は布地を透過する。

朝夕の暗めの喫煙所で、倉庫に至る通路で、膝がピカピカとしているのは目立つ。

なにがなんでも秘密にしたい、という恥ずかしいモノではないので適当にいなせばいいのだが。

むしろ積極的に自慢する方向に行っているが、実は機械のカラダが欲しいんだよね、という行き過ぎた思想への共感者は多くはない。


なんだかマッスルイメージだけれど筋力は増強しない

で。

肝心の保持力。

1週間程度、日中は装着していた感想としては”効果はある”

電気仕掛けのガジェットを膝に装着しているのだ、という高揚感も当初は当然ある。その意味で気分的に”強く”なっていた面もある。

だがしかし、座った時にスーッと抜けるエアで保持力が弱まるのは感じ、再び立ち上がったときに鈍い音と共に締め付けられていく感覚はONとOFFが明確であり、謳い文句通り”外骨格”として機能していると感じられる。

とはいえ、剛体を持たないので現状の膝を増強するものではない。

保持力を求めてキツいサポーターを巻いて窮屈な思いをするのではなく、適宜自動調整してくれるという点で”便利”であり”快適”なサポーターであると思う。


バッテリーの持ちについては稼働状態にもよるだろうが、カタログスペックよりは短く、16時間程度。

立ったり座ったりが多い環境だと都度、コンプレッサーが作動するので消費が激しいのだろう。


小型(薄手)のサポーターは歩いている間にズレ下がり、意味をなさなくなることがあるが、E-Kneeは全くズレない。

サイズはセミオーダーメイド的なシステムであって、事前にC-EXO Skeleton Technology社に太腿とふくらはぎのサイズを測定して連絡する方法。

Kickstarterの掲示板では指定したサイズとは異なるものが届き怒りの書き込みも見られるが、私は連絡した通りのサイズが届いた。


既に国内でも代理店が立っているようで、国内クラウドファウンディングでの募集も始まっているようだが、原始となったKickstarterの出資者にも行き渡っているように見受けられないので(2022/3時点)、納期はゆっくりとしたものになると推測される。

C-EXO Skeleton Technology社の公式WEBサイトも消滅したのか、移転したのか、不安定さが見られる。

予備のユニットを購入しよう、という動きに対応できる現状にないことも残念であり、今後に期待するしかない。